プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake)とは?

この記事はIOG Youtube「What is Proof of Stake?」を翻訳したものです。(2018/07/19)

Prof Aggelos Kiayias

(*イタリック文字は私が付け足した部分です

ウロボロス プロトコル(Ouroboros protocol)は、Cardanoブロックチェーンの中核です。これは決済レイヤーです。基本的にユーザーはこのレイヤーに、トランザクションが統合され、その出力がネットワークに受け入れられたかどうかを確認することができます。つまり、決済レイヤーは暗号資産にとって最も重要なコンポーネント(構成要素)の1つです。

1台のサーバーで、決済レイヤーを中央集権的なサービスとして実装することは可能です。これは機能しますが、非常に大きな欠点があります。それは、システムに単一障害点(single point of failure:SPOF そこが停止するとシステム全体が停止してしまう部分)が発生することです。つまり、この方式ではトランザクションの”Liveness”(活性)が確保されますが、言い換えれば、トランザクションはシステムで受理されます。サーバーがハッキングされたり、トランザクションを検閲したい人物にサーバーがコントロールされた場合、どのトランザクションを含めるかは、そのシステムをコントロールする人しだいになってしまいます。つまり、これが暗号資産にとって分散化が非常に重要である理由です。

分散化は単一障害点から、分散的または協調的に決済層の同じサービスを生成する一連のアクターに信頼を分散させることができます。これは実は、コンセンサス(合意)として知られているコンピュータサイエンスの古典的な問題を示しています。コンピュータサイエンスにおけるコンセンサスとは、40年以上にわたって研究されてきたもので、ある集団が同じ出力を出すために共通のコンセンサスに達しようとするときに直面する問題を指します。

私たちはこの問題に関する文献の問題を非常によく理解していますが、Bitcoinプロトコルの出現前に研究されているソリューションのほぼすべて、同じ欠陥を共有しています。それは、プロトコルを実行している当事者の集合が既知であること、基本的に信頼できるネーミングインフラがあること、プロトコルを実行している当事者がお互いを知っていることを前提としていたのです。これはコンピュータサイエンスにおける古典的なシステムとしては理にかなっていますが、インターネットが機能する方法とは互換性がありません。

2009年のBitcoinプロトコルで初めて、プロトコルを実行している参加者の既存の名前を仮定することなく、解決とコンセンサスを考えることが可能になりました。これは非常に重要です。コンセンサス問題の解決から、プロトコルを実行している参加者が何であるかという仮定を削除できます。プロトコルの実行は公開され、基本的にすべての関係者はオープンで自由にプロトコルの実行に参加し、台帳の整合性に貢献することができます。このようにして、システムの整合性は最大になり、極めて破壊されにくい決済層を提供することが可能になります。

しかし、Bitcoinプロトコルの大きな欠点は、膨大なエネルギーを必要とすることです。プロトコルが動作するためには、参加者がProof of Work(PoW)と呼ばれるものを解決する必要があります。つまり、決済レイヤーに参加し、実行している各サーバーは、難しい計算問題を解く必要があり、これには基本的に多くのエネルギーを浪費しなければなりません。次に処理されるトランザクションに関する自分の提案が、決済レイヤーに含まれる必要があることを他の参加者に証明する為に。

これは、プロトコルに非常に望ましい分散化の性質を多く与える一方で、非常に大きなエネルギー消費を必要とするマイナス面もあります。そのため、Bitcoinコミュニティでは、Bitcoinブロックチェーンが提供する分散化の質を維持したまま、プロトコルに付随するエネルギーの浪費を取り除くことが可能かどうかが早くから議論されました。

この問題を考える多くの人々によって沢山のアイデアが提案されましたが、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)が最も有力、かつ最も説得力のある方法として、Bitcoinブロックチェーンからのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)の必要性とそれに伴うエネルギーの浪費を取り除くことになりました。

プルーフ・オブ・ワーク(PoW)はBitcoinブロックチェーンの基本要素ですが、その性質上、プロトコルを進めるためにエネルギーを消費する必要があります。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の場合に起こることは、プロトコルの参加者がプロトコルを進めるために実際にエネルギーを費やす代わりに、既に存在し台帳に記録されているリソースを参照します。この参照には、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)で起こるようなエネルギー消費は必要ありません。このことがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を有効なものにしています。

Bitcoinの場合と同様の分散化を実現しつつ、Bitcoinや他のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)に伴うプロトコルで生じるエネルギーの浪費を実際に起こしません。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)プロトコルは、現在利用可能なあらゆる最先端の暗号ツールを活用し、分散型台帳分野の他のどのプロトコルよりも、実際にスケールし、より参加性の高いブロックチェーン・プロトコルを提供しようとするものです。

したがって、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)プロトコルはデジタル署名や公開鍵証明書などの暗号ツールに基づいているため、あらゆる種類の有用なサービスを提供する暗号プロトコルを使用し、非常に自然な形でプルーフ・オブ・ステーク(PoS)台帳上にこれらのプロトコルを構築することが可能です。このようにして、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)台帳は、電子投票やサプライチェーン管理など、分散型台帳アプリケーションに高い価値をもたらす可能性のある様々なアプリケーションを含む、非常に汎用性の高い機能を提供できます。

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